エイブル・アート・アワード

2010年度支援先

 今年で13回目となりましたエイブル・アート・アワードには全国各地より38件のご応募をいただきました。選考会は非常に難航しましたが、協議の結果今年の展覧会支援対象者は、長崎県に在住の谷本光隆さんに決定いたしました。谷本さんには12月に銀座のガレリア・グラフィカbisで、また1月には千代田区外神田のA/Agalleryで展覧会を開催していただくことになります。


今回残念ながらご支援の対象とならなかった方の中には、最後まで候補として残りながらわずかな差で残念ながら選からもれた方もいらっしゃいます。一方、グループでご応募いただいた方々の資料からは、自由な創作環境が用意され、思い思いに作品作りを楽しんでいる様子が目に浮かぶものも多々ありました。創作の原点を大切にされているみなさまの日ごろの活動に事務局、選考者一同大いに触発されました。みなさまの真摯な取り組みに対して改めて敬意を表します。


毎年ご協賛いただいています松田油絵具株式会社様からは、応募者の皆様の中よりお二人に対して、アクリル絵の具を寄贈いただきました。今年は諸般の事情により「制作支援の部」を休止し「展覧会支援の部」のみの公募となりました。エイブル・アート・アワードへのご希望などがございましたら率直なご意見をいただけましたら幸いです。
今後もより充実した支援をめざし、このプログラムを続けていきたいと思っています。そのためには新たな支援者、支援企業が必要です。皆さまからのご支援や支援に関するアイデア、情報提供もお待ちしています。

展覧会支援の部 入選者

選考者/立ち合い者
選考評

 

<支援先>

展覧会支援の部(応募件数=38件 支援件数=1件)

 谷本光隆さん(長崎県長崎市)

第12回エイブル・アート・アワード
展覧会支援部門入選展
「谷本光隆展」

2010年12月20日(月)〜25日(土)
ガレリア・グラフィカbis(中央区銀座)

2011年1月5日(水)〜17日(月)
A/Agallery(千代田区外神田)

■アクリル絵の具寄贈対象者(提供:マツダ油絵具株式会社)
 
小林弘典さん(奈良県奈良市)

西川泰弘さん(埼玉県川口市)

 

 
●選考者/立ち合い者
 
  高橋 直裕  (世田谷美術館)

  サイモン 順子 (アートカウンセラー)

  中津川浩章 (美術家)

  滝川潔、村井和昌(富士ゼロックス端数倶楽部)

 
     松田貴子 (花王株式会社、花王ハートポケット倶楽部)
  
     松田孝子(松田油絵具株式会社)
  
  長崎 剛志(庭園美術家)

 

選考評

 

■「展覧会支援の部」選考総評

サイモン順子(アートカウンセラー)

残念なことであったが今回「制作支援の部」がなかったので、選考会はスムーズにはこぶと思われたが… 

 38件という数もさることながら、気になる作品が多く、決してスムーズという訳には行かなかった。最終的にはからずも同じような障害をお持ちの本間泉さん、谷本光隆さんにしぼられ、谷本さんに決定。

この二人の作品に底知れぬ性を感じ見ておどろいた。本間さんの女性性、谷本さんの男性性でこの二人の作品をならべてみたいと強く感じます。

 一般論として、どの部門でも言えることなのだが、個人、団体にかかわらず、プレゼンテーションの上手、下手が実物作品を見ることの出来ない我々にとってやはりそこで左右されることが多くある。今後応募される時、ぜひ考慮していただきたいと思います。

 

高橋 直裕(世田谷美術館学芸員)

今年は応募数の多さに比例して、良い作家が多かったと思います。

猫をモチーフに独特の空間世界を見せる原口めぐみさん。コラージュ作品の奥儀を極めた感のある谷本光隆さん。詩情に溢れ、透明感のある美しさを湛える星野祥代さんの多色刷り木版画。ダイナミックな画面で圧倒的な存在感を示す本間泉さん。いずれも甲乙つけがたい高い水準の作品でした。さらに風の丘所属の美濃部責夫さん、安藤和子さんのお二人と西川泰弘さんもとても気になる存在でした。このほかにも7、8人の方の名前をあげることができるほど、充実した内容の応募作品群でした。アワードは残念ながら1名の方に限られてしまいますが、今年から始動したA/Agalleryでそのほかの方々の作品を積極的に取り上げて紹介していっていただければ、と願っています。

 

中津川浩章(美術家)

今回のアワードは応募数が38組と多く大変見ごたえのある選考会になり、谷本光隆さんに決定しました。

 最終的に、猫をモティーフに暖かく多様な切り口を見せてくれた原口めぐみさん、視覚に障害があるにもかかわらず多色刷りの木版画でさわやかな風を運んでくれた星野祥代さん、そして生きることの痛みを画面に刻みながら重厚で繊細な世界を表現された本間泉さん、ヨーロッパ的なセンスを感じさせるコラージュ作品の谷本光隆さんの4人に絞られました。

 個人的に本間さんと谷本さんの作品に共通する、アンバランスなものの持つ魅力と切迫感があり大変迷いました。そして谷本光隆さんに決定したのですが、どちらの作品の優劣ということではなく、さまざまな要因がありました。谷本さんは前回にも最終選考に残りながらも惜しくもアワードを逃した後での作品のセレクトを変えパワーアップしての再チャレンジでした。そんなことも加味されての決断です。昨年展覧会をされた松尾由佳さんも何回かチャレンジした後のアワードでした。今回逃した方々も是非再チャレンジしてほしいと思いました。

 選考に当たって気になったことは、作品集など印刷されたものをそのまま提出すると、どうしてもライブな感覚が薄まり、完成しすぎた印象を受け、新鮮さがなくなります。また、基本的に判断するのに作品写真しかないため、作品写真には繊細な神経を使ってほしいと思います。作品をフラットな状態で見ることができる背景やトリミングは必要ですし、またピンボケやカラーコピーは今一つ作品の魅力が伝わりにくいと感じました。一つ一つの作品の魅力を最大限に引き出す工夫や気持ちが人を動かしていく力になっていくと思います。

 最後にひとつ、谷本さんのコラージュ作品は単に視覚的な効果ではなく、精神の深い場所からのうなり声のように聞こえました。実物を見るのが今から楽しみです。

滝川潔(富士ゼロックス端数倶楽部)

 ニコニコしながら、夢中でじゃんじゃん描いたのだろうなと想像できる作品、じっくり時間をかけて黙々と制作されたのではと思われる作品。うーんと思わずうなってしまう、おそらくは良い指導者の下で、技量を磨いた方の作品、あれ〜?と感じるままそのままを紙に表現した作品。
いつもながらいろんなものが並んで、このアワードの選考は楽しい時間です。最終選考の残った4人の方は、どれも私にとっても第一印象が強いものでした。

 谷本光隆さんのコラージュは、巧さが際立っていました。ただ、細かい所につい目がいってしまうのは、その情報量がやや多いせいかなとも感じました。

 星野祥代さんの木版画は観ていてとても気持ちのいいものでした。(ほしい!という気にさせるものです)簡潔でいて緻密・繊細。あと一歩というところでアワードを獲得できなかったのは残念です。 

 本間さんのは、今年一番「ザワッ」と来ました。一部の写真の画像がぼけていたのが残念です。

 原口めぐみさんのは的外れかもしれませんが、挿画などの二次使用としていいなと感じました。 

 選に漏れた方の中にもエイブル・アート・ジャパンが開いた千代田のギャラリー、A/Agalleryで展示される可能性があるとのことで、ぜひ原画で確認したいと思います。

 その他、1次選考で一人ずつテーブルに順に並べるのではなく、応募者全員の資料を配置してその間を自由に行き来できるようにされたのは良かったです。作品の間を行ったり来たりして時間をかけて見ることができました。これも、広い会場のおかげですね。

 

松田貴子(花王株式会社、花王ハートポケット倶楽部)

今年は展覧会の部のみでしたが、応募作品一つ一つ拝見し選考いたしました。個性豊かな作品の中から一つだけ選ぶというのは大変難しいものです。今年は昨年も注目を浴びながら選考に漏れた

谷本光隆さんがアワードになりました。青と黒が印象的なコラージュ作品で独自の世界を作り出していました。また選ばれなかった中にも、実際の作品を見てみたいと思うもの、画廊に展示した

ら映えるだろうと想像の膨らむ作品がいくつもありました。今後も制作に取り組んでいただきたいと思います。

 今年は12月のガレリア・グラフィカbisに加え、1月に千代田区のA/Agalleryで展示されます。多くの方にご覧いただき、これをきっかけに自由な自己表現の場が広がっていけばと願っています。

12月と1月の展覧会を楽しみにしています。

 

松田孝子(松田油絵具株式会社)

カドミウム・グリーン・ペール色をしていた栗の実が木々の地面にローアンバ色に変わって小さなおいしそうな栗の実がはじけております。

 今年も多くの方々のお作品が集まりました。

 暑かった日々の中、お作品のご制作は本当に大変だった事と思います。

 めずらしく、版画のお作品があり、一点一点やわらかく、色が美しく、品格があったお作品がありました。今回は残念でしたがまたお作品に会いたく思います。

 松田油絵具は小林弘典様と西川泰弘様にマツダアクリルカラーをささやかながら送らせていただきます。

長崎 剛志(庭園美術家)

アワードを受賞した谷本さんのコラージュ作品の青い風景は朝でもなく、夜でもない。おドロおドロしいけど行ってみたい。「アートの世界」だから無理かもしれないけど、自分の写真を切り取って貼付けてみたいものだ。

 展覧会では不思議な錯覚に落ち入ることになるだろう。そして、時間の感覚を持たない経験ができるのでは...

 

 


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