視覚に障害のある人との言葉による美術鑑賞ハンドブック

百聞一見をしのぐ!?」

 

視覚に障害のある人に

情報を届けるには

 視覚に障害のある人たちとの鑑賞プログラムを企画しようとしたり、実際にプログラムを実施する際に、どうしたら視覚に障害のある人に情報を届けられるのかわからないという声をよく耳にする。美術館向けアンケートの中には、視覚障害者向けプログラムを実施したけれど、参加者が一人もなく、それ以来企画は実施していないという不幸な例もあった。障害の有無にかかわらず、必要としている人に的確に情報を伝えることは難しい。ここでは、視覚に障害のある人に情報を届けるためのきっかけとなりそうな窓口やツールをいくつか紹介する。

その1口コミはあなどれない

 情報の収集や選別が難しい視覚に障害のある人たちに、情報を的確に届けるには、口コミはとても効果的だ。同じ障害のある人同士強力なネットワークをもっていることもしばしばある。まずは視覚に障害のある人と出会い、そこから友人知人、サークルや団体を通して紹介してもらうなど、網の目のようにネットワークを広げていくといいのではないか。

 実際に、東京都美術館で実施している「障害者特別鑑賞会」には毎回100人以上、視覚に障害のある人が訪れるが、はじめは一人で参加して、その人が友人を誘い、その友人がまた別の人を誘い、どんどんと参加者が増えてきた。

その2盲学校にも情報が

 盲学校に連絡をとってみるのも一つの手段かもしれない。各都道府県にある公立や大学附属の盲学校は、現在全国に71校(文部科学省調べ、平成15年5月1日現在)ある。

 美術館や博物館の事業として、視覚に障害のある人たち向けのプログラムを実施する際は、地域の盲学校に協力を求めるのは有効であろう。NPOや有志、個人レベルの活動なら、まずは興味をもってくれそうな先生(例えば美術の担当の先生)を見つけ、盲学校の卒業生などを紹介してもらうこともできるかもしれない。

その3組織や団体の協力を得る

 視覚障害当事者の団体や関連団体、支援団体のうち、全国規模の組織には各地に支部があるので、支部を紹介してもらったり、それぞれの地域にある当事者団体や自助グループなどの情報を入手することから始めるのも一つの方法。

 また、直接視覚に障害のある人にアプローチすることが難しそうな場合は、全国各地で活動する、点訳・音訳・朗読・触覚絵本などのボランティアグループやサークルにアプローチするのも効果的だ。また、視覚に障害のある人の外出支援をするガイドヘルパーのグループをはじめ、視覚に障害のある人たちとかかわりのある団体やグループに相談してみてはどうだろうか。

 これらの情報を得られる場所として、社会福祉協議会やボランティアセンター、点字図書館などがある。社会福祉協議会は、各都道府県や市町村単位で設置されているので、まずは相談してみるといいかもしれない。点字図書館は全国に76館あり、点字図書や録音図書の貸し出しをはじめ、点訳・音訳サービスやボランティアの養成、視覚障害者用具の情報提供や販売など、視覚に障害のある人の生活に役に立つさまざまな情報提供やサービスなどを行っているところである。視覚に障害のある人たちはもちろん、ボランティアの人たちも出入りしているので、チラシを置かせてもらったりするのも効果的ではないか。

その4マスコミにもアプローチ

 視覚障害者向けのメディアとしては、国内唯一の点字新聞である「点字毎日」と、視覚障害者向けのラジオ放送による情報提供をしている「JBS日本福祉放送」がある。幅広く情報を届けたい場合に利用してみてほしい。もちろん、専門のチャンネルばかりでなく、一般の新聞、ラジオ、テレビも大いに活用しよう。耳から情報が入ったり、家族や知人が情報を伝えてくれることだって大いにあり得る。

その5インターネットは重要な情報源

 最近は、パソコンの音声読み上げソフトの普及により、視覚に障害のある人たちのパソコン利用環境もよくなり、インターネットやメールを利用する人も増えている。視覚に障害のある人たちの利用に配慮した、アクセシブルなホームページの作成を心掛けることも重要。また、情報を広く伝えたい場合には、視覚に障害のある人たちが利用している、インターネット上の情報ページやメールマガジン、メーリングリストなどを利用してみたらどうだろうか。

 参考情報

点字毎日

1922(大正11)年 5 月11日、毎日新聞は「点字毎日」を創刊。日本最初の点字新聞で世界唯一の点字新聞。点字版と活字版を週刊で発刊。

購読についてのお問い合わせ

フリーダイヤル:0120-468-012

Tel:06-6346-8388

 

JBS日本福祉放送

http://www.jbs.or.jp/

JBS日本福祉放送は日本で唯一の視覚障害者向け専用ラジオ放送。現在、リスナーは約8000人、24時間365日体制で情報を提供している。

Tel:03-5336-0388(月曜から金曜の午前 9 時から午後 5 時まで)

Fax:03-5336-0544

E-mail:radio@jbs.or.jp

 

毎日新聞「ユニバーサロン」バリアフリーの情報ページ

http://www.mainichi.co.jp/universalon/

「ユニバーサロン」は、毎日新聞社が障害者や高齢者のインターネットアクセスを支援するため、特にパソコンボランティアネットワークの推進やIT(情報技術)の福祉分野への活用に焦点を当てたホームページ。音声だけでウェブを利用している人たちのために、違和感なく聞けるように配慮。ユニバーサロンには2004年12月現在、1 日約34万件のアクセスがあり、バリアフリーやユニバーサルデザインについての情報交換の場、イベント紹介やボランティア募集、問題提起の場として活用されている。

 

週刊アイリンク

http://www.eyelink.jp

視覚障害者のための情報検索サイト・アイリンクが発行している情報メールマガジン「週刊アイリンク」は、毎週火曜日の発行。内容は、新着サイト情報、視覚障害関連の話題、読者から寄せられた情報など、便利で役立つ情報を掲載。購読は無料。読者からの情報も、随時受け付けている。

E-mail:info@eyelink.jp

 

メーリングリスト「JARVI-ML」

http://www.twcu.ac.jp/~k-oda/VIRN/JARVI/JARVI-ML.htm

視覚障害者と視覚障害者のために働く人の情報流通にインターネットを導入することによって、これまで困難だった部分がどれほど解決するか挑戦するために作られたメーリングリスト。個人運営だが、視覚障害者関係のメーリングリストでは、参加人数が多く最も有名なメーリングリストの一つ。日々さまざまな情報が行き交っている。参加制限や条件は特になく、誰でも登録できる。

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