視覚に障害のある人との言葉による美術鑑賞ハンドブック

百聞一見をしのぐ!?」

 

コラム

視覚障害に関する基礎情報

その1視覚障害とは

 視覚に障害のある人は、現在、日本に30万1000人*ほどいるといわれている。一般的に視覚障害というと、まったく色も光も感じない「全盲」をイメージする人が多いと思うが、実際には、メガネやコンタクトレンズを使ってもうまく視力が矯正されず日常生活に支障を生じる「弱視(ロービジョン)」の人のほうが圧倒的に多い。また、弱視といわれる人たちの中には、「視野」に障害のある人たちもいる。一口に弱視といっても、「ぼんやりとしか見えない」「見える範囲が狭い」「中心だけが見えない」「視野の一部分が欠ける」「白くモヤがかかる」「色の区別がつかない」など、見え方、見えにくさはさまざまだ。また、生まれた時から障害のある先天的な人と、途中から視覚障害になった中途障害の人、また中途でもその時期や経験、育った環境などによって、情報の伝わり方、想像の仕方やイメージのふくらませ方は、人それぞれ、まったく違う。

*厚生労働省・障害保健福祉部「平成13年度身体障害者実態調査」より

その2点字について

 点字とは、視覚に障害のある人が指先で読む記号文字で、6つの点の組み合わせでできている。駅の階段の手すりや券売機などで見かけたことがあるかと思う。点字は、視覚に障害のある人全員が読めると思われがちだが、実際の点字の識字率は1割ほどといわれている。視覚に障害のある人のうち、60歳以上が全体の約三分の二を占めていて、高齢になって中途失明する人が増加しているため、点字が読める人の比率は年々下がっているのが実状である。

 したがって、美術館や博物館などでは、視覚に障害のある人に対して、解説文やキャプションを点訳するだけではなく、拡大文字による文章の作成も必要とされている。

その3白杖(はくじょう)と盲導犬

 視覚に障害のある人は、白杖と呼ばれる杖を使ったり、盲導犬を同伴して歩く。

 白杖とは、視覚に障害のある人が歩行するときに使う道具(補助具)。路面の変化や段差などの情報の収集、前方や足元の安全確認、視覚に障害があることを周囲に知らせるという役目がある。

 盲導犬は、視覚に障害のある人の歩行を補助する大切なパートナーで、自立した生活の大きな支えとなっている。盲導犬は白または黄色のハーネス(盲導犬用の胴輪)をつけていて、その時は仕事中だと教えられているので、周りの人たちはさわったりエサを与えたりせずに、静かに見守ることが大切。盲導犬の受け入れについては、2002年より施行されている「身体障害者補助犬法」によって義務づけられている。いずれも視覚障害者の生活や移動においては欠かせないものであり、その使用や受け入れを拒否することはできない。

その4視覚に障害のある人たちの情報収集の方法

 厚生労働省の調べによると、テレビ、家族や友人などからというのが最も多く、次いでラジオ、新聞や雑誌という順番である。テレビは副音声を利用したり、新聞や雑誌は点訳や音訳をしてもらう。最近ではパソコン上の文字情報を読んでくれる音声読み上げソフトの開発・普及により、インターネットやメールもできるようになった。視覚に障害のある人たちにとって、パソコンは自分で得たい情報をすぐに入手することができ、文章を書くこともできるので、利用者の数は年々増え、視覚に障害のある人を対象としたパソコン教室も数多く開催されている。

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