視覚に障害のある人とのことばによる美術鑑賞会議 
報告書

 

鑑賞グループによる「ことばによる美術鑑賞」

デモンストレーション

 

1.ギャラリーコンパ

2.ミュージアム・アクセス・ビュー

3.ミュージアム・アクセス・グループMAR

 

 午後2時。3日間にわたる会議は、この「視覚に障害のある人とのことばによる美術鑑賞」を地域の中で展開している三つの市民鑑賞グループによる鑑賞デモンストレーションで始まった。

 神戸市郊外の丘陵地にある富士ゼロックスの研修施設「スペースアルファ神戸」には、ロビーや廊下の壁に大小さまざまな絵画(主に現代アート)が展示されている。参加したグループは東京のMAR、京都のビュー、福岡のコンパ。視覚に障害のある人を含むメンバー3名が一組になり、それぞれ2作品を鑑賞することになった。

 

 一番手はコンパ。

 松尾:チョコレートの紙のカサカサって音がしてくるみ たいな……。

 石田:牛か何かが斜めに寝そべって……。

 松尾:牛なの? これ。

 

と、まず目の見える松尾さん、石田さんが作品の印象や雰囲気、大きさや構成など目で見て感じたことを言葉に置き換え、見えない濱田さんへ伝えていく。その言葉を聞いて濱田さんも質問を投げかける。

 濱田:乾燥した色って感じかな?

 松尾:……木材系の肌触りがする感じ。

 見える二人は濱田さんに何とか作品のイメージを伝えようと言葉を探り、その言葉から濱田さんは作品のイメージを膨らませ、より詳細で深い質問を投げかける。

 そんな言葉のやりとりを重ねていくことで、さらに共通のイメージやそれぞれの思いが浮かび、会話が広がったり深まったりムム言葉を紡ぐことで鮮明になっていくイメージの世界を対話によってさらに広げることで、作品の世界も広がり、より深く作品を知ることになるのだろう。

 40名を超える参加者に囲まれて当然いつもの鑑賞とはいかなかっただろうが、ほかの2グループもそれぞれのリズムで「言葉による鑑賞」を進めていった。

 作品を観る視点や楽しみ方は人それぞれとあらためて気づかされる。周りの参加者も、鑑賞から発生するそれぞれの言葉を聞きながら、より真剣なまなざしで作品を見つめ、その距離を近づけているようにも感じた。

 初めてこの鑑賞を知ったオブザーバーの一人は、「手探りで共通する感覚を形づくっていく、まるで別の新しい絵を描くような作業に感じた」と語っていた。

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1. G1ギャラリーコンパ
松尾+濱田*+石田

鑑賞風景の写真

濱田:明るい印象? 暗い印象?

松尾:明るくもなく暗くもなく。冷たく突き放される感じではないけれど、じゃあ身近な感じかというとそうでもない。

石田:絵の中の男性たちがみんな真剣な顔をしているけれど、首にトランプがあったりして、少しちゃかしているよう   な感じ。

濱田:人の心というのが……、トランプをしながら人の裏の心を考えた絵なのではないかな。本当は自分はこう思っているんだけれど、心の奥では別のカードを出したいと思っているのを表明しているんじゃないかな?

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2. G2 ミュージアム・アクセス・ビュー

阿部+光島*+山田

鑑賞風景の写真

山田:イメージとしては竹林。白く空いたところに緑の縦が並んでるから。

光島:緑? 緑ってどんな緑?……それは明るいっていうことかな?

山田:うん、さわやか。私好きだなこういうの。

光島:じゃぁ、季節で言うと。

山田:……そうそう夏の色。

光島:じゃあ元気になるようなイメージ?

阿部:……私は生命力のようなものは感じなくて、

竹というより縦縞にしか思えない。

光島:無機質ってこと?

阿部:そう、モダンなむき出しのコンクリートの家に

飾るとおしゃれな感じ。

光島:安藤忠雄の美術館にあるっていう感じ?

阿部:う〜ん、安藤忠雄とはちょっと違う。

光島:違うか……あの〜値段つけるとしたら、

いくらぐらい?

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3. G3 ミュージアム・アクセス・グループ MAR

ホシノ+白鳥*+大内

鑑賞風景の写真

大内:注射器みたいなのが見えていたの、真横にグサッて感じで。何だろうな、と思っていたら戦闘機で……ちょうどこの絵のまん中あたりに原子雲みたいなのがあって……。

ホシノ:じゃあベトナムか?!

白鳥・大内:ア〜!!

大内:……でも、ちょっと読みすぎじゃない?

ホシノ・白鳥:(笑)

大内:……で、ここにはさっきの電球の絵なんですけど、電球の絵の右側に子どもの顔?

ホシノ:これはアメリカ人、白人の……。

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