視覚に障害のある人とのことばによる美術鑑賞会議 
報告書

 
鑑賞グループ活動報告

 

G1ギャラリーコンパ

G2ミュージアム・アクセス・ビュー

G3ミュージアム・アクセス・グループ MAR

 

 ギャラローコンパ写真

G1ギャラリーコンパ

概要

■名称由来■ ギャラリーや美術館などにおいて、アート体験を豊かにシェアする。「コンパ」とはラテン語で「カンパーニュ」「カンパニー」「コンパニオン」などと同じ語源で、ともにパンを分かち合う=命の糧をシェアする人という意味を持つ。

■設立年■ 2005年9月

■設立経緯■ 2004年福岡「国民文化祭」の委員であった数名が、その前年に世田谷美術館でMARの「視覚障害者とのことばによる観賞」を視察し「障害者アートフェスティバル」で計9回実施。美術鑑賞に無縁だった視覚障害者や鑑賞のしかたに興味を持つ人々が多数参加。そのネットワークで、2005年に福岡でエイブル・アート・ジャパンと2回のツアーを実施し、それを機にあらためて市民団体として発足。

■活動エリア■ 福岡県内

■登録者数■ 見えない人約15名/見える人約150名

 

運営状況

■運営資金■ ギャラリーコンパに関するイベントの講師謝金が発生したときなどに運営スタッフに入る収入(不定期)や参加者のカンパ

■スタッフ数■ 見えない人を含む約3名

■運営拠点■ なし。スタッフ間でメールの連絡を取り合うことで進行。現地下見の前後にカフェなどを使って運営会議を開催

■ミーティング■ 不定期

■広報活動■ 登録者へはメールで情報を提供

■連絡先■ 090-1349-1743(松尾)

■Mail■ sachi.m218▲gmail.com(松尾)
送信するときは▲を@にしてください。

■代表者■ 松尾さち

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活動内容

■活動方針■ 見える人と見えない人が互いの個性をいかし合ってアートを豊かに分かち合える体験を目指している。◇言葉による美術鑑賞にあまりとらわれすぎず、五感によるアートの共有体験を大切にしている。◇作品という「もの」を触媒としながらも、オーディエンスとして一人ひとりが紡ぎ出す「ものがたり」を分かち合っていく。作品という「もの」ではなく「こと」という共創体験世界こそを大切にしていく。

■鑑賞ツアー■ 実施回数:年3〜4回。延べ12回◆参加者平均数:見える人約15名。延べ約200名/見えない人約2名。延べ約30名◆主な展覧会:2006年『「!!」っとなるユニバーサルデザイン』展(九産大美術館)、『片山博詞彫刻』展(福岡市美術館)◇2007年『子どもとともにデザイン』展(アクロス福岡)◇2008年『子どもたちの移動祝祭日』(同)、『Life Map』(ギャラリーアートリエ)

■鑑賞ワークショップ■ 実績:2007年「アクセスアーツフォーラム福岡〜障害のある人の芸術活動を通した社会参加〜」実践発表(あじびホール)、「美術館へ行きたい!〜わたしたちのニーズ・2007年度福岡市美術館ボランティア研修」にて講演(福岡市美術館)など。

■その他■ 造形作家やその卵である学生たちと一緒に鑑賞する試み◇地元大学と連携し展覧会プログラムとして企画参加◇視覚障害者ガイドボランティア事業所での「アロマテラピーワークショップ」を開催◇音楽ホールでコンサートの鑑賞会

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鑑賞ツアー内容

■企画■ 参加者が、今度はこれを観たい、一緒に行きたいと提案する展覧会に行くのが基本。福岡のギャラリーにギャラリーコンパ開催を視野に入れたコンテンツをつくってもらう機会に恵まれ、巻き込みながら展開することもある(企画に組み込んでもらい先方のチラシに掲載するなど)。

■準備■ 美術館へ事前に連絡し、新しい鑑賞を理解してもらうために活動の説明をする。

■時間■ 休憩ありの2〜3時間(その後のカフェなどでのコンパはこの時間外)。

■説明■ ギャラリーコンパとは:目の見える、見えないといった互いの個性をいかし合い、一緒にアートをシェアするワークショップ・グループ。ギャラリーに集まってわいわいと作品を巡って語り合い、カフェに流れてビールやお茶をぐびぐびやりながらアート談義、またほかの話へと花を咲かせていく。そんな「ゆるさ加減」を大切にしながら、福岡を拠点にワークショップを開催している。

大切にしていること:主役は鑑賞する「人」であるということ。鑑賞する人それぞれの発見、それが創作であり、表現活動(言葉だったり、間だったり、身ぶりだったり)。

@ 自身の心に響くアート作品を会場内で一人ひとりが見つけに行く。

A グループで行くと、感じたことを言葉にすることによってほかの視点から自分の鑑賞(創作)が見えてきて、揺さぶられる。

B 作品(もの)をダシにして、一期一会(こと)を楽しむ。客観的な感想を言うことに腐心するのではなく、自身が主体的に感じたイメージを相手に表現し、目の前に広がる作品世界を、居合わせた者みんなで共創していく。

C さらに、鑑賞後はギャラリーの外に出てお茶やお酒を挟んでアート談義。さらなるコンパ活動を行う。これが、次回以降の鑑賞で参加者たちが当事者として信頼できる言葉を紡ぐことにつながることが多い。

■方法■

3〜8名程度(見えない人1名を含む)のグループ鑑賞。約束事はこれといってなし。

※ギャラリーコンパの鑑賞に慣れた人がグループ内にバランスよく入るように配慮。

※ご家族やガイドさんなど語らなくても伝わりやすい同伴者は、できる限り別のグループに入るように配慮。

@ 自己紹介

A グループ分け

B 最初はグループ別に見える人が見えない人をリードして、ときに見えない人の希望を伺いながら、ともに鑑賞する作品を選ぶ。

C 見える人が自分の感じた作品を語ることから始める。見えない人は質問者でありこの鑑賞体験のかじ取り役でもある。

D 作家や学芸員がその場にいる場合にはある程度鑑賞が進むなかで出てきた疑問に答えていただいたり、鑑賞途中やその最後に補足する形で入っていただく場合もある。

E 想像力を駆使する見えない人のペースに心を配り、その疲れぐあいでグループごとに休憩をとる。

F 最後に参加者全員にひと言ずつ感想を言ってもらったり、感想を書いてもらって解散。流れによってはそのままコンパの中で感想を言い合うときもある。またメールで感想を送ってもらうこともある。

G カフェや居酒屋などのコンパに流れて、場所を変えた先にてその日の体験を語り合い共有していく。

 

■ポイント■ 視覚に頼る作品ばかりでなく、ほかの感覚を使う作品鑑賞も積極的に取り入れる。

 

■鑑賞後■ 事務局としてのミーティングや報告、記録は、主にメールのやりとりで行う。ほかの会合などで企画者や参加者が会うときがミーティングになることもある。

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現状と問題

■参加状況■ 見える人が多い、そしてリピーターが多い。初めての人の中にはリピーターの知り合いが多い。見えない人は少ない。

■参加者の反応■ (以下、感想文より抜粋)

・ 伝えたくていつもより多く「見る」ことをしたと思う、すげーエネルギーつかった。楽しかった。

・ 鑑賞の隙間に意識的に自分が入り込み、他者と思いを共有することで、自分の感性にあらためて気づきます。なぜその絵が気になるのか、どういう部分に惹かれるのか、自分でも理解できないままに、でも人に伝えたいと思い言葉をさがしていく中で、私は、その絵の放つエネルギーと表現力に魅了されていたように感じました。感じた事を否定することなく、共有し、伝えあう心地良さが、そこには存在しました。目が見える、見えないということはバリアではなく、糸のようにつながっていくこころや記憶の対話となり、作品が様々な角度から見えてきたように思います。

・ 家に帰っていろいろ反芻してみましたが伝えようとして空回りしていて、うまく言葉にできなかった作品が自分の中でさらに深く掘り下がっていき一人でさまざまな解釈が広がっています。また大変楽しい方たちとの出会いもあって今後が楽しみです。

■活動などの変化■

・ 何を大切にすれば我々にとって意味がある活動になるのか、探るのに時間がかかったように思うが、今は気楽にやろう、と「ゆるさ加減」を大切に、作品に忠実な鑑賞よりもむしろ、鑑賞者の思いを軸にし、そのうえで作品の背景や技術的なこと、作家のことなどを参考にしていくような鑑賞のしかたをしている。

・ 見えない人が間接的にしか鑑賞できない点にもどかしさを感じて、彫刻や音楽など見える人と一緒にアクセスできる鑑賞も入れていくようになった。

■問題点■

・ 参加者が固定的になりつつあること。特に見えない人に届く参加呼びかけ(広報)がうまくいっていない感じがする。

・ ホームページやブログ開設の要望はあるが、それを運営する時間が持てない(最近は、同じ鑑賞をした人の感想を事務局が集約しメールで共有し合う試みをしている)。

 

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ビュー鑑賞風景

G2ミュージアム・アクセス・ビュー

概要

■名称由来■ 見える人も、見えない人見えにくい人も、美術館や美術鑑賞を身近なものに感じてほしいという思いから。

■設立年■ 2002年7月

■設立経緯■ 『エイブル・アート近畿2001(ひと・アート・まち)』の「2人で見て楽しむ美術鑑賞会」に参加したメンバーが中心となり発足。このとき、見える人は言葉のやりとりによる鑑賞のおもしろさを発見。見えない人たちからも、継続の声が上がる。準備段階を経て翌年正式に発足。発足メンバーには、視覚障害がありアーティストでもある光島貴之さんも加わる。

■活動エリア■ 京都市内中心

■登録者数■ 見えない人見えにくい人約50名/見える人約120名

 

運営状況

■運営資金■参加者からの徴収分、助成金、グッズ販売

■スタッフ数■ 見えない人見えにくい人を含む約8〜10名

■運営拠点■ なし。スタッフ同士の連絡は主にメールで行う

■ミーティング■ 不定期

■広報活動■ 登録者へはメールやチラシ(点字あり)で情報提供。そのほか、HP、ブログ、メーリングリストで地元の視覚障害者団体などへ案内

■URL■

http://www.nextftp.com/museum-access-view

■連絡先■ 080-5352-7005(受信専用)

■Mail■ museum_access_view▲yahoo.co.jp
(送信の際は▲を@にしてください。)

■代表者■ 阿部

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活動内容

■活動方針■ 見えない人見えにくい人と見える人が、ともに気軽にアートを楽しむグループ。言葉による鑑賞ツアーを実施することで、見えない人たちが美術に興味を持てる機会をつくり、見える人にも新しい鑑賞のあり方を提案している。また、より鑑賞を深めるために、見えない人たちを対象にした創作ワークショップも実施する。

■鑑賞ツアー■ 実施回数:年4〜5回◆参加者平均数:見える人約20名/見えない人見えにくい人約10名◆主な展覧会:美術館(京都国立近代美術館、京都市美術館、私立の美術館など)の企画展、常設展、およびギャラリー。

■鑑賞ワークショップ■ 実績:実施回数は外部からの依頼に応じて年2〜3回。参加対象者:美術館のボランティア、視覚障害児を持つ保護者、学生など。開催場所:岡山県立美術館、財団法人たんぽぽの家、青少年会館など。

■その他■ 「言葉によるアクセスマップ」不定期作成、「美術鑑賞サポートツールの触図」不定期作成、「創作ワークショップ」(見えない人見えにくい人対象)年3回◇「出張鑑賞ツアー」不定期◇その他アクセス環境整備への働きかけをする◇2003年「ミュージアムアクセスグループ全国会議」(世田谷美術館)、2006年「アートリンク・プロジェクト」(京都市内)、2007年「アートリンク 日米フォーラム」(京都国立近代美術館)などへ参加。

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鑑賞ツアー内容

■企画■ 主に市内の美術館で実施。企画ごとにスタッフで担当を決める。

■準備■ 美術館へ事前に連絡する。鑑賞前は参加者に鑑賞のポイントを説明する。

■時間■ 約3時間。

■説明■ 見えない人見えにくい人、見える人と「ことば」を使った鑑賞ツアー。「会話を楽しむ」ことができる人なら誰でも参加できる。難しい作品の解釈や説明をする必要はなく作品を介してお互いに会話を楽しむことを目的としている。

■方法■

3名(見える人2名+見えない人見えにくい人1名)のグループで行う。

@ 見える人が、作品全体の大まかな構図や描写、最初に受けた印象を伝える。

A 見えない人見えにくい人は、描写や色などの質問をし、どんなイメージが浮かんだかを伝える。

B やりとりを通して、互いの「見え方」「感じ方」の違いを確認。作品からのメッセージも探り、鑑賞を深める。

C 最後に全員で集まり、グループごとにどのような鑑賞が行われたか感想を発表する。

■約束事■ 四つの「しない」ルール
(リラックスして鑑賞するためのルール)

@ 静かに鑑賞しない。

(おしゃべりしながら作品鑑賞を楽しみましょう)

A 見える人は一方的な説明をしない。

(自分や相手の声、作品の声を「聞く」ことも忘れずに)

B 見えない人見えにくい人は、聞き役に専念しない。

(どんどん困らせる質問をしましょう)

C すべて分かり合おうとはしない。

(人間、すべてを分り合うのは不可能。気軽に鑑賞しましょう)

※会話が思いがけないところに飛んだり、発展したり、脱線したりするのはOK。

※新たな発見や忘れていた感情を思い出すことも、アートの楽しみの一つ。


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■ポイント■ グループ鑑賞のポイント

@ グループ内で自己紹介をする。

A 見えない人見えにくい人の視覚の程度(全盲/弱視/中途失明/先天盲、視覚の記憶、色の記憶など)や、歩行の際の手引きの必要性を確認する。

B 会場の大きさ、作品数、時間などを確認し、鑑賞する作品を相談する。

C 言葉で鑑賞できる目安は、1時間半で10〜15点ぐらい。ある場合は、触って鑑賞できる立体コピーや点図の触図を活用する。しかし触って作品が理解できるものではないため、触図は補助ツールとして、あくまで言葉による鑑賞を行う。

 

■ヒント■ 「伝える」ためのヒント

・ 目に一番に飛び込んできたもの、一番に感じたことを伝えるのもよい。構図を伝える時は、先に作品の大きさや大まかな構図、次に細部を伝える。

・ 何か身近なものにたとえてみる(色なら「火のような赤」、人物なら「有名人の〜」など)。

・ 音、会話、味覚、匂い、季節、雰囲気など、描かれてないものも想像して伝えてみる。

・ 「ザァー」「ポワン」「プルン」「ガギガギ」など、擬態語も大いに伝わる。

・ 相手の手を取り、動かして大きさを伝えたり、手のひらに描いたりする。

・ どういう言葉が伝わりやすいか、相手に聞いてみる。

■鑑賞後■ HPに報告文、写真、参加者の感想を掲載。

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現状と問題

■参加状況■ 見える人、見えない人見えにくい人ともに、初参加の人が必ずいる。リピーターも半数ぐらいいる。

■参加者の反応■ (以下、感想文より抜粋)

・ 見えない人たちは、美術館へ行くことや、鑑賞できることに気づく。

・ 見える人は、言葉で鑑賞することで美術作品の新しい見方を発見し驚く。

■活動などの変化■

・ 見える人のリピーターの中で、言葉の鑑賞を楽しめる人が増えてきた。

・ 見えない人たちが会話を引き出す場面が増えてきた。

・ 見えない人たちが、鑑賞を繰り返すうちに作品の好みがわかるようになってきた。

・ 会話の記録をとったり、報告書(DVD)をつくって、ビューの活動を広げようとしている。

・ 美術館にもビューの活動が理解されるようになり、会議室を貸してもらったり、学芸員が感想会に同席するようになってきている。

・ 外部から鑑賞ツアーを依頼されることも増えてきた。

■問題点■

・ グループでの鑑賞方法をとっているため、参加者確保のバランスが難しい(たとえば、見えない人見えにくい人の申し込みが多く、見える人の申し込みが少ないときがある)。

・ 事務所がないので打ち合わせの場所に困る。

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MAR鑑賞のようす 

G3ミュージアム・アクセス・グループ MAR

概要

■名称由来■ MAR(まー)は「Museum Approach & Releasing」の略称。人と美術を、人と美術館を、人と人とを、もっと身近に、もっと解放していこうという意味。

■設立年■ 2000年4月

■設立経緯■ 1999年の『このアートで元気になる エイブル・アート'99』展(東京都美術館)の関連プログラムとして実施した「みえない人とみるためのワークショップ ふたりでみてはじめてわかること」がきっかけとなり、ワークショップ参加者有志のメンバーが集まり数回のミーティングを行い、2000年に「MAR」として発足。

■活動エリア■ 関東圏

■登録者数■ 見えない人49名/見える人193名

 

運営状況

■運営資金■ 基本的になし。ただし、MARに関係する事業(講演やワークショップ)に伴う謝金が発生したときは収入としている。

■スタッフ数■ 事務局2名(エイブル・アート・ジャパンのスタッフが担当しておりMARの専従はいない)。コアメンバー約15名(見えない人を含む)

■運営拠点■ エイブル・アート・ジャパン

■ミーティング■ 不定期

■広報活動■ HP、チラシ。登録者へはメーリングリストで情報を提供。そのほか、Webの掲示板への書き込み

■URL■

http://www2.gol.com/users/wonder/mar.html(MAR)

http://www.ableart.org(エイブル・アート・ジャパン)

■連絡先■ 03-3364-2140(エイブル・アート・ジャパン内)

■Mail■ office▲ableart.org(送信の際は▲を@にしてください。)

■代表者■ 太田・山口

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活動内容

■活動方針■ 「ふたりで みて はじめてわかること」。これがMARのポリシーを示す言葉。ガイドやボランティアと障害のある人というこれまでの関係性から自由になって、「一緒に作品を見る」ことで、一人では見えなかったものが観えてくる。美術鑑賞に正解も間違いもない。見えていても観ていないこと、見えなくても観えることに気づく楽しさを共有している。こうした取り組みは、美術鑑賞とコミュニケーションの本質に迫るものだと考え、多くの人と「言葉による美術鑑賞」の真の楽しさを共有することを目指している。

■鑑賞ツアー■ 実施回数:年6回程度◆参加者平均数:20名前後◆主な展覧会:2005年『アートサーカス(日常からの跳躍)』(横浜トリエンナーレ)◇2006年『アフリカ・リミックス:多様化するアフリカの現代美術』(森美術館)◇2007年『生誕100年 靉光(あいみつ)』展(東京国立近代美術館)、『アルフレッド・ウォリス展〜海に生きた素朴画家〜』(横須賀美術館)◇2008年『原美術館コレクション』展(原美術館)、『常設展』(埼玉県立近代美術館)、『丸山直史 後ろの正面』展(目黒区立美術館)

■鑑賞ワークショップ■ 実績:2008年 女子美術大学の授業「ユニバーサルアート研究」での鑑賞ワークショップ『2008年度女子美術大学同窓会企画展 PHOTO+GRAPH 光の描画』展(女子美アートミュージアム/コーディネーター)、「アートなピクニックおしゃべりトリエンナーレツアー」(横浜市民ギャラリーあざみ野/ナビゲーター)、立教女学院短期大学の授業「保育内容研究(子どもの表現・造形)」でのワークショップ(講師)◇2009年「特別支援教育に関する保護者研修会」にて講演(東京都立葛飾盲学校/講師)

■その他■ 『百聞は一見をしのぐ!?』の発行(2005年3月)◇ラジオ番組「メイコのいきいきモーニング」に出演(11月2日/TBSラジオ系列全国11局/http://www.tbs.co.jp/radio/meiko/)

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鑑賞ツアー内容

■企画■ 鑑賞ツアーは事務局がツアー先候補をいくつか出し、コアメンバーにメーリングリストで投げかけ鑑賞先を決める。

■準備■ 美術館への事前連絡はなし。

■時間■ 約2時間半(集合から解散まで)

■説明■ 参加者の方へ

・ この鑑賞ツアーは美術の専門家によるガイドツアーではありません。

・ 美術知識よりもコミュニケーションを通してお互いイメージを膨らませながら、見える人と見えない人が〈一緒に〉美術作品を鑑賞するものです。

・ ガイドする人、ガイドされる人という一方通行的な関係ではなく、双方向のやりとりを最も大事にしています。

・ 一期一会を大切に、ともに楽しく鑑賞し、参加者の皆さんが自由に観て感じて気づくという鑑賞をしてください。

・ 約束事、方法は特にありません。自由に鑑賞してください。

■ポイント■ グループ分けのポイント

・ コアメンバーやリピーターの人をグループ内に1名配置し、見えない人1名に対し見える人が2〜3名の構成にする。なるべくは年代や性別に偏らないメンバーにする。

・ グループ分け後にそれぞれのグループで自己紹介を行う。

■鑑賞後■ 鑑賞後は希望者のみでお茶をする。事前に連絡をし、美術館の会議室で反省会を行ったこともあるが、基本的には自主的にお茶できるスペースを探し、こぢんまりとその時々の作品についてなどを語らう。特に記録に残してはいないが、個人的に後日感想文を送ってくれる人がいると、MARのHPで紹介している。

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現状と問題

■参加状況■ 初めての人は2〜5名程度(毎回必ずいる)。リピーター3〜5名。見える人は5〜10名、見えない人は3〜8名程度。

■参加者の反応■ 

 

・ 見える人も見えない人も同じ立ち位置から美術鑑賞を楽しんでいる。

・ グループのメンバーによって見方も感じ方も違う。

・ じっくり時間をかけて1点の作品を見る、全体の雰囲気から感じ取るなど、見えない人によって見方も鑑賞スタイルも変わる。

・ 美術館によって対応は違うが、おもしろがってグループの中に入ってくる美術館関係者も多い。

・ 世代や時代背景の違うメンバーが、美術作品の前でお互いの人生経験を語り作品を読み解いていくこともある。

・ 鑑賞を通して、一人ひとりの違いを感じながらもコミュニケーションを通して、新しい価値観を発見することもある。

・ 見えない人の中にはお気に入りの美術館などもできてきて、次回行きたい美術館のリクエストがくる。

・ 参加者同士のつながりも出てきて、MARの企画以外でも音楽会や美術館に出向く人もいる。

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■活動などの変化■

・ 見える人のリピーターの中で、言葉の鑑賞を楽しめる人が増えてきた。

・ 見えない人たちが会話を引き出す場面が増えてきた。

・ 見えない人たちが、鑑賞を繰り返すうちに作品の好みがわかるようになってきた。

・ 会話の記録をとったり、報告書(DVD)をつくって、ビューの活動を広げようとしている。

・ 美術館にもビューの活動が理解されるようになり、会議室を貸してもらったり、学芸員が感想会に同席するようになってきている。

・ 外部から鑑賞ツアーを依頼されることも増えてきた。

■問題点■

・ HPの環境を整える(音声で聞きとりやすく改善していく)。

・ リピーターを増やしていく。

・ 見えない人の参加者は比較的高齢の人が多いので、若い世代の見えない人たちに広く告知をしていきたい。

・ 単発的な企画になってしまい、継続的なツアー企画をたてられていない。定期的な鑑賞ツアーを行うために、早めのスケジュールを立てる必要がある。

 

 

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