視覚障害のある人と、一緒に美術館へ行って作品をみる。言葉にするとこれはとても簡単なことだと思われるかも知れません。しかし、このなかには、おそらくふだん通りに生活しているだけではなかなか気が付くことが出来ないたくさんの事柄が含まれていると思います。 MARでは、視覚障害のある人とともに芸術を楽しく鑑賞するためには、どのようなことに気を付ければいいのかなど、そのスキルについて、また新たな鑑賞の可能性についても探っていきたいと考えています。 スキルというものに目を向けるのは、「考え方や感じ方のヒントとして」ということと、基本的なマナーみたいなものです。スキルについては、これからどんどんと深めて発展させていきたいと考えていますので、みなさんの積極的なご意見などもお待ちしています。 参考として、第1章はエイブル・アート・ジャパンが「このアートで元気になる」展のために作成したガイドレポートを、第2章はMARの発起人の一人である白鳥建二さんが作成したものを引用しました。 |
目次 | |
第1章 見えない人とみるために〜基礎編〜 | |
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第2章 見えない人とみるために〜実践編〜 | |
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第3章 いっしょに歩く〜ガイドのヒント〜 | |
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第1章 見えない人とみるために〜基礎編〜
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◇盲導犬とは
◇盲導犬を見かけたら
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いつも鑑賞ツアーに参加している視覚障害者からいただいたご意見をもとに考えてみます。 歩行を援助する場合、一番理想的なかたちとは、どうしたらスムースにいっしょに歩くことができるか?ということだと思います。そのためには相手の腕を引っ張るのではなく、自分の肘(腕または肩)を相手の手にふれる様にさし出してあげることです。 その際、重要なのは障害者の方が一体どちらの手に杖を持っているかということ。杖を持つ手と反対の手で自分の肘(腕または肩)にふれてもらった方が動きがスムースになると思います。 一緒に歩き出した際に、方向を示す時、わかりやすい説明の仕方の一つは時計の針の方向で示すことだと言います。 まっすぐならば12時の方向。 右方向ならば3時の方向というように。 これは、例えばテーブルの上にある物を指示する時にも便利だそうです。 確かに時計は30度きざみになっているので、かなり細かな位置まで正確に思いえがくことができるのかもしれません。「あれ」「これ」「それ」など指示的な言葉の多くは、具体的な事柄を明確に伝えられない「あいまいさ」を含んでいる様です。具体的なイメージを正確に伝えられることで実際の歩行、いっしょに歩く時など、かなりスムースになるのではないでしょうか。もちろん右、左、前、後という大まかな表現でもそれで事が足りれば問題はないと思います。 歩くということがスムースにできるようになると、歩く行為に集中しすぎるということがなくなり、話もはずむはずです。 |
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見えない人と接する上で、どんな対応をするべきかを決める一番大切なことは・・・何でしょうか? それは「常に相手の気持ちを考えながら行動すること」でもなければ、「自分の気持ちを相手にわかりやすく説明していくこと」でもありません。これらは、まったく必要ないとは言えませんが、よく考えてみると、このどちらの考え方も自分が中心になっていることがわかります。 自分を中心にものごとをすべて考えていくと、相手の気持ちがわかりにくくなります。もちろんこれは見えない人と接する場合に限ったことではありません。人と人の関係においてそうなのであって、これはコミュニケーションと言ったりもします。 しかし、冒頭の?にもみられる様に特に 見えない人とのコミュニケーションにおいてはなぜか「かまえる様な態度」が用意されているように感じます。どうすればいいのかわからなくなった時に、どうすればいいのか、わかっていなければいけないなどと思ったりしたがるのです。 そしてこういうのをスキルなどと言ったりする。人と人のことは、やはり人と人の間でなんとか、どうにか、お互いすべきなんだと思います。よくわかってなくていいから、すべてパーフェクトでなくていいですから、だから、自分が世界の中心になりすぎると、一方通行の交通しか作れなくなるような気がします。「わかってる様な気がしている」のは、実はとても暴力的なことなのかもしれません。視覚障害のある人と接する上で、どんな対応をするべきかを決める一番大切なことは・・・<本人に聞く>こと です。 |
鑑賞ツアー 視覚障害者と共に鑑賞するには ミニエッセイ〜視覚障害者の視点〜 |