身だしなみと基本のスキンケア&メイク講座レポート VOL.8
2019年12月7日(日)、ハーバー銀座館で実施した基本コースについて当日の様子をお伝えします。
この日の参加者は9名、家族や福祉事業所職員の付添者も4名同席されて、会場は熱気いっぱいでした。
講座は、スキンケア、メイク、カウンセリング等、幅広い美容知識・技術を持つ、ハーバー研究所の美容教育トレーナーが担当します。
この日は講師のほか、3名のスタッフが参加者をフォローしました。
参加者9名のうち、初めての参加者が8名です。講師にむかって、ぐるり扇型に机を並べて座りました。
やはり最初はみんな少し緊張気味です。
講師の明るい笑顔と元気な声に、少しずつ緊張も和らぎ講座がすすんでいきます。
身だしなみと基本のスキンケア&メイク講座 およその流れは次の通りです。
1.身だしなみってどんなこと?〜一緒に考えましょう〜
2.お肌を健やかにきれいにしましょう〜洗う・潤す・守る〜
3.メイクに挑戦〜化粧下地、ファンデーション、リップ〜
4. 振り返り~講座で感じたこと・考えたことを言葉にして発表してみましょう〜
◆「身だしなみってどんなこと?」
はじめに「おしゃれ」と「身だしなみ」の考え方の違いについて学びます。ここでは、主にイラストを用いて考えていきます。また身だしなみで大切にしている視点として、他人から見て素敵だな、お友達になりたいな、ということが具体的にはどのようなことなのか。あたまのてっぺんからつま先まで、ひとつひとつ解説を加えながら、チェックシートに〇△×をつけていきます。「今、できていなくても明日から早速やってみましょうね」、講師の言葉にうなずく参加者もいました。
◆スキンケア「お肌を健やかにきれいにしましょう〜洗う・潤す・守る〜」
3つのステップを順に学んでいきます。肌の汚れをとるために「洗う」、たっぷりの化粧水で肌を「潤す」、スクワラン(乳液にかわるもの)で潤った肌を「守る」、です。教材のボトルには、それぞれシールを貼り、家に帰ってからも復習できるようになっています。また、3つのステップをしっかり覚えるために、講師の話をきく→練習をする→本番の実践→テキストにもどって振り返りをする、というように、ひとつひとつの動作をじっくり繰り返していきました。写真からは、参加者の真剣な雰囲気が伝わってきます。
◆「メイクに挑戦〜化粧下地、ファンデーション、リップ〜」
スキンケアが終わると、参加者のみなさんの肌は、つややかに潤っています。ここで次に、肌の色を整えるために「化粧下地」をつける、その後はファンデーションを薄くムラなくつける練習です。化粧下地は、あずき粒1粒ぐらいの大きさ(または小指のツメぐらいの大きさ)を出し、顔にまんべんなく薄くつけるための方法を具体的に学びます。また、パウダリーファンデーションをスポンジにとって薄くムラなくつける方法についても、具体的に学びます。この講座では、練習や繰り返しを重視しています。例えば化粧下地やファンデーションも、「(容器から化粧下地を)出したつもり」「(スポンジにファンデーションを)つけたつもり」としてエアーレッスンを繰り返し、体で動作を何度も確認した後に、実際の本番にうつります。
一人ひとりは異なるペースや理解度ですが、この練習を通じて、自信を持った動きになっていくことが印象的です。
参加者からは、「毛穴が消えました!」という発言もあり温かな笑いも生まれました。また「メイクは自己流でした。今さら人には聞けない基礎から学ぶことができました」という感想もありました。
最後にリップを塗って基本の講座は終了です。「ファンデーションクリームが濃いよと言われていたので、ファンデーションはスポンジを使ってきれいにできて良かったです。グロスリップがてかてかしました」と話してくれた参加者もいました。
◆振り返り〜講座で感じたこと・考えたことを言葉にして発表してみましょう〜
講座が終了したあとは、お茶を飲みながらアンケート用紙に感想を書いていきます。お隣の方同士でお話ししたり、付き添いの方に写真を撮ってもらったりする参加者もいます。この間、講師から、みなさんへのプレゼントとしてチークを施していただきました。興味深くのぞきこんだり、自然と顔が笑顔であふれてきます。
みなさんが書き終えたら、一人ひとりが感想を発表します。その一部をご紹介します。
「初めてのメイクだったので不安もありましたが、正しいメイクのやり方を学ぶことができて良かったです。化粧をするのが楽しくなりそうです。」
「自分が、若々しくなった感じです。」
「初めて参加して、緊張もしたけど勉強になりました。ふだんの生活にもいかしていきたいです。」
「メイクはむずかしくて失敗している人の話をきくので、自分に無縁と思っていましたが、少しメイクの感じがわかりました。やってみようかなという気持ちになりました。」
「とても楽しかったです。ありがとうございました。片想いが両想いになれるよう、頑張ります!自分に自信がつきました。」
支援者の方からも次のような感想がありました。
「メイクに関心があるかわからなかったのですが、すごく関心を持って帰ることができたようです。」
「いつもおしゃれにしているので、多分関心があるのかなと講座にお誘いしました。ご本人も静かに楽しんでいるように見えました。」
◆多様な参加者をお迎えするために
この日は、多様な障害の参加者をお迎えしました。
聴覚障害のある参加者の方とは事前に情報交換を行いました。それにより、講師の唇の動きを読むため最前列に着席していただくこと、音声読み取りアプリを使用したタブレット端末を持参いただき、鏡の横に設置し、講師には専用のマイクをつけてもらいました。ご本人からは後日、「先日のスキンケア・メイク講座では大変お世話になりました。ありがとうございました。早速頂いたスキンケアセットを使用していますが、とても肌の調子が良いです!」とのうれしいご連絡もいただきました。
知的障害や発達障害のある参加者は、付添者とともに参加していましたので、参加者と付添者が近い距離でともに学び、コミュニケーションできるように座席を配慮しました。
◆コロナ禍で私たちにできること
この講座のわずか数か月後、新型コロナウイルス感染症で世の中が一変してしまいました。3月に予定していたステップアップ講座(チャレンジコース)にお申し込みいただいた参加者も多かったのですが、残念ながら感染拡大防止の視点から中止せざるを得ず、また現在もハーバー銀座館での講座開催は見送っています。
そこで、ハーバー研究所とエイブルアート・カンパニーでは、みなさんが自宅や事業所(会社や福祉事業所)などでも講座を受講できるように、「オンライン講座の動画配信サービス」(受講料無料)をはじめました。
動画は約60分です。準備や繰り返し、記念撮影、発表時間などを入れて約90分~120分を想定しています。
ぜひ、詳細をお知りになりたい方は、エイブルアート・カンパニー東京事務局までお電話またはメールでご連絡ください。みなさまの日常が、少しでも楽しく明るくなるようお手伝いができたら幸いです。